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東京にブランド品が集結する理由

はじめて取材でパリに行ったとき、私はいとこの女性に、ある老舗ブランドの定番商品であるバッグを買ってきてほしい、と頼まれた。さほどタイトなスケジュールではなかったし、パリの店もいろいろと聴きたかったので、安請け合いしたものの、これがとんでもないことになってしまった。そのバッグは素材、大きさなどにいくつもの種類があるので、彼女に手渡された雑誌の切り抜きを頼りに、ほしいタイプを探したのだが、パリの本店にも、そのブランドが入っているデパートにもなく、ようやく見つけたときにはもう帰る前日で、パリ市街の散策や自分の買い物などまったくできなかったという笑えない思い出がある。そのときわかったのは、ブラフンド品や珍しいファッションアイテムを探すなら、東京がいちばん簡単に見つかる、という皮肉な事実だった。東京にはパリやロンドンやミラノにもないような珍しい製品や限定品がたくさん売られている。理由は明快だ。ヨーロッパ人にくらべて日本人はブランド品に対する執着心が強い。特に人が持っていない稀少価値のある製品に対しては格別、関心が高く、ブランド側も日本人向けのマーチャンダイジングをしているのである。外国のブランド店に行っても、ショッピングをしているのは、日本人の若者ばかり。時間がないのか、大慌てで買い物を急ぐ彼女たち(とその彼氏)の、その中に混じって、地元のマダムや旅行中の老夫婦をちらほら見かける程度だ。ブランドが好きなことは悪いことでもないし、いいものにふれるという意味では、あとあとその人の肥やしになることもあろうが、でも、と思う。自分をよく見せたい、かわいく、ゴージャスに、セクシーに。同性にも異性にも憧れの目で見られたい、という気持ちは理解できる。が、しかし、その姿勢が手っとり早すぎる気がしてならない。ほかに若いうちにしかできないことはたくさんあるんじゃないだろうか。一〇代や二〇代のころから、すでにそのステイタスが確立されたものに頼るなんて、ちょっと退屈なやり方だな、と思う。洗いざらしのTシャツやアイロンのかかっていないシャツでも、なにを着ても様になる、はじけるような若い時期だったら、もっと自由奔放になれるし、いくらだって失敗することができるのに。ファッションの冒険ができる、いちばんエキサイティングな時期なのにな、とかわいそうに思う。

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