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仲人の役割

私の知っている縁談をまとめる名人は、いつも正式の見合いの前に、上手に下見合いを演出しています。仲人としては、初めての見合いの席で、双方が直感的によい印象を持ってくれればよいのですが、そうでない場合は困ります。お話を断わるときに、とくに女性の側は傷つきやすいので、とても気をつかいます。ですから、あと味の悪い思いをしないためにも、仲人が偶然をよそおった下見合いを演出するのはよいアイデアだと思います。私のお弟子さんの場合は、駅に知人を見送りにいった折り、プラットホームが下見合いの場でした。相手は親とともに彼女を見にきたのですが、彼女は知りませんでした。また、見合いの場所は、昔は大劇場などがよく使われましたが、このごろはホテルのロビーや個室、紹介者の自宅などが多いようです。自然な気持ちで話し合える場所だからです。人間は、いっしょに食事をすると、間柄がいっそう近くなるといわれていますが、一流のレストランや大料亭で、テーブルーマナーを気にしながら、コチコチにかたくなっての食事では打ちとけるどころか、相手を観察する心のゆとりすらないでしょう。知り合いのお嬢さんから、見合いの席上でデザートのメロンにナイフをあてたら、皿の上でつるりとすべって困ったという話をききましたが、見合いは、食事をするより、くつろいでお茶を飲む程度が適当だと思います。