日本を代表する温泉で知られる観光地・熱海市(人口4万人)。市の資料によると、2007年度のごみ排出量は年間約3万トンあった。1人1日当たりにすると1992グラムになる。日本全体では約1100グラムだから、2倍近い。なぜ、こんなにすごい数字になるのか。市の担当者は「市民ががんばって分別をしても、観光客がどんどんごみを捨てればごみは減らない。ごみ量は観光客の増減に比例するのです」とため息を漏らす。観光の町は、観光客の出すごみに苦しんでいるのだ。京都市をはじめ、観光地といわれる自治体では、年間を通じて訪れる観光客が生み出すごみに四苦八苦している。いくら市民が努力して分別しても、観光客のおかげで、その努力がフイになっている。ところが、観光業を根幹産業とし、市の歳入のかなりの部分を、こうした観光業者に頼る市は、貴重な財源である事業者に思い切った施策をとれない。2007年度に市を訪れた観光客数は、633万人。うち302万人が宿泊客だ。これは市の人口の76倍。観光による経済効果は2005年の統計で約880億円にのぼる。明治時代に作家の尾崎紅葉が『金色夜叉』で熱海の海岸を紹介したように、全国有数の温泉、観光地として命脈を保ってきた。観光客はお金を落としてくれる神様だ。だから、「きちんと分別してください」なんて厳しいことは言えないのだ。