eブランディング成功要件を満たすことによって強いブランドを構築している実際の企業に焦点をあてながら、その具体的取り組みの持つ意味合いを整理してみたいと思います。アマゾン・ドットコムといえば、一九九五年に初のオンライン書籍販売としてスタートしたネットベンチャーのパイオニア的存在であり、世界で最も有名なeブランドといっても過言ではありません。弱冠三十五歳で『タイム』誌のパーソンーオブーザーイヤー(九九年度)に選ばれた若き創業経営者ジェフーペゾスがアマゾンードット・コムを立ち上げた当初、実はすでに先行プレーヤーがいくつも存在していたのです。ペゾスは全く新しい事業コンセプトの開発というところに強みを持とうとしたのではなく、既存のオンライン書店という事業コンセプトを最も効果的な事業モデルに落としこむことを目指していました。優れた事業モデルを構築するために徹底して経営資源を投下し、その結果として、あっという間に他の追随を許さない安定的な差別優位性を確立することに成功したのです。事業モデルを構築するにあたってベゾスは明らかに、高いブランド認知の早期獲得を意識して取り組んでいます。ベゾスがウェブサイト上で販売する最初の商品として書籍を選んだ理由の一つに「本を知らない人はいない」ということがあったといいます。